ハシブトガラスとハシボソガラス

日本の街や野山で見かけるカラスはハシブトガラスとハシボソガラスだ。 どちらも同じような黒いボディで同じような体格であり、 区別がつきにくいが見分けるポイントはいくつかある。

鳴き声を上げるハシボソガラス

↑鳴き声を上げるハシボソガラス

鳴くときに頭を上下させるのがハシボソガラスの特徴。
木に止まり鳴くときの姿勢は確実に見分けられるポイントだ。 頭を下げたときに息継ぎして、頭を上げながら声を絞り出す。 よく見ると頭を上下させるというよりも、上半身を上下させている。 この時、尾翼をいっぱいに広げてバランスを取っているが、 その時の状況によって尾翼の広げ方を変えている。 その鳴き声はガラガラ声で「ギャー、ギャー」と濁音に聞こえるが、 よく聴いてみると、細かく音を震わせ、ビブラートを効かせたような独特の鳴き声で、いわゆる濁音ではない。 声質には個体差があり、たまにきれいな高音のビブラートを発するハシボソもいる。

鳴き声を上げるハシボソガラス

横から見るとこんな状態。
上体を伸ばしながら発生している。 鳴くときの姿勢がなんだかマヌケ。

鳴き声を上げるハシブトガラス

↑鳴き声を上げるハシブトガラス

発声時に尾翼を内側に動かすのがハシブトガラスの特徴。
ハシブトガラスは鳴くときに頭を上下させない。その代わりに 右の画像のように尾翼を内側にしまい込むような姿勢になる。 「カアー、カアー、」と鳴くたびに尾翼がピコ、ピコ、と前後に動く。 このとき尾翼は広げない。 そして喉をいっぱいに膨らませ大音量で発声する。 一般的にハシボソガラスよりも声量が大きい。 ハシブトガラスは澄んだ声で「カアー」という典型的なカラスの鳴き声だが、 声色を変化させることが可能で、濁音、ビブラート、音程の変化など多彩な発声が可能だ。
「アーホー、アーホー」と音程を変化させられるのはハシブトガラスの特技である。。 さらにハシブトガラスの方が言語能力が高いのか、 様々な声を発して「仲間を呼ぶ」、「敵の襲来」、「仲間同士で合図を送る」 など幾通りもの鳴き方がある。 状況を観察しながら鳴き声を聴いてみると、何を言っているのかだいたい分かる。 ただし、子ガラスは鳴き声が異なるので声で種別を判定するのが困難である。

ハシブトガラスのおでこ

↑ハシブトガラスのおでこ

一般的にハシブトガラスのおでこは盛り上がってる、と言われているが、 それは間違いだ。左右の画像を見比べてほしい。 両方とも同じハシブトガラスだが左はおでこが盛り上がっているが、 右の画像では寝かせている。つまりこれは、 骨格の違いではなく羽毛が逆立っているだけなのだ。 左のように羽毛が逆立っているときはリラックスしているとき、嬉しいとき、甘えているときである。 気分の変化に同調して瞬時に羽毛が寝たり逆立ったりする。 その他、寒い時も羽毛を立てているが、そんな時は同時に肩をすぼめている。

ハシボソガラス

こちらはハシボソガラス。
彼は今、機嫌が良くリラックッスしているようだ。 おでこの羽毛が総立ちになっている。 カラスを見分ける判断材料として、 おでこは全く関係ないことが分かる。 ちなみにカラスが本気で怒っているときは、 頭の羽毛は寝かせるが背中の羽毛を浮きあがらせる。

怒るカラス

興奮した状態
このカラスはなぜか金属のキーホルダーが大嫌いで、 それをチラつかせると激怒する。逆立った背中の羽毛は戦闘モードに入った証。

くちばしの形

クチバシの形状で見分ける

左がハシブトガラスで右がハシボソガラスだ
外見から確実に判定するポイントはクチバシだ。 ハシボソガラスのクチバシは、その他のカラス科の鳥と同じく端正で細長く、バランスが良い。 それに対して左のハシブトガラスはクチバシはやや長く上側が厚く先端に向かって湾曲している。 本来、ハシブトガラスは森林の鳥であり、小型の動物を狩ったり 肉食動物の獲物の食べ残しを食べていた。 そのため動物の肉を引き裂くのに、この形状は適しているのだろう。噛む力も非常に強い。

歩き方が異なる

ハトやアヒルのように、足を交互に出して歩くのがハシボソガラスの特徴である。 尾翼を振りながらテクテク歩いている姿を見かける。 ハシブトガラスも交互に足を出して歩くこともあるが、 多くの場合、スズメのように両足同時にジャンプするようにして歩く。 ただし軽快なスズメと違い、図体の大きなカラスがやると、まるでキョンシーのようだ。
*キョンシーとは、中国に伝わるゾンビのこと。
どちらが歩くのが得意か?、というと微妙である。 一見、人間と同じように交互に足を出す方が効率がよさそうに見えるが、 人間を基準に考えるは間違いだろう。 実際、ハシブトガラスのジャンピング歩行の方が速度が速く、 飛行に移るときのテイクオフも当然速くなる。 対して交互に足を出すハシボソは、 バランスをとるために歩行時に尻尾を振り体をひねり、顎を前後させるなど、 無駄な動きが多い。


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2016年12月3日公開

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