カラスと法律 2017年5月改訂版

鳥獣保護管理法について

正確には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」であり、 略して「鳥獣保護管理法」である。 この法律のルーツは古く、1873年(明治6年)に制定された鳥獣猟規則にさかのぼる。 当時は専ら狩猟の規制や免許についての法律であったが、 それから45年の時が流れた1918年(大正7年)に大改正が行われ、 鳥獣保護に重点を置いた内容となった。 このときの改正により狩猟鳥獣が指定され、 逆に狩猟鳥獣以外の動物の捕獲が禁止となった。 現在の鳥獣保護管理法の基礎をなした法律と言える。 そして幾度となく小規模な改正を重ね、 現在では狩猟鳥獣以外の野生動物を愛玩飼育することがほぼ不可能になってしまった。

野生動物であるカラスもこの法律で守られている。 このコーナーではカラスに関する各事例について、鳥獣保護管理法に則り解説する。


*以下、「法律」とは鳥獣保護管理法のこと。
*「カラス」とは野生のハシブトガラスとハシボソガラスに限定する。
*飼養とは飼育のことである。

カラスの捕獲

ハシブトガラスとハシボソガラスはこの法律で狩猟鳥獣に指定されている。 よって、狩猟期間と狩猟方法、禁止区域以外での狩猟を守れば、 許可を得ることなく捕獲が可能である。 こうして捕獲したカラスは食べようが飼おうが自由であり、 報告の義務も無い。 猟法によっては狩猟の免許も不要である。 狩猟期間は北海道以外の地域においては、 毎年11月15日から翌年2月15日までと定められている。 これは、木々が落葉し山林での見通しが良くなる晩秋から、 動物たちが子育てを始める前の季節という設定になっている。 ただし、都道府県知事の権限により禁止区域や期間が別途定められることがあるので、 注意が必要である。

カラスを狩猟期間外に捕獲する場合は、 管轄する役所への許可申請が必要である(第9条第1項)。 どのような場合に許可が下りるかについては、 都道府県により判断が異なるが、 狩猟期間外に飼養を目的とした捕獲は現在は許可が下りない。

カラスの巣の撤去

春先から初夏にかけて山林や公園につくられたカラスの巣について、 巣の中に卵やヒナがいる場合は許可なく撤去することはできない。 もし、違法に撤去した場合は、 一年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い処罰が下される(第83条第2項)。 撤去したい場合は地域の役所に許可申請を出すことになるが、 カラスによる実害がない、またはこれから起こる実害が予想できない場合は不許可となる。

さらに注意が必要なのは、自宅の庭にカラスが巣を作ったからと言って、 それを撤去する場合においても許可が必要になる。 この法律は私有地かどうかを考慮しておらず、個人の庭にも適用されるのだ。

カラスの飼育

原則として捕獲した野鳥を飼育する場合、 飼養登録をすることが義務付けられ、 識別できるように足環を付けることになっている(第19条)。 だがこれは、条文の中で「非狩猟鳥獣」に限定しており、 狩猟鳥獣であるカラスには飼養登録の必要がなく、 飼養の届け出も許可も一切、不要である。

カラスの傷病保護

傷病保護については鳥獣保護管理法に具体的な条文は存在しない。 さらに狩猟鳥獣であるカラスの場合は、 飼養の許可や登録は不要であるため、 保護した事を役所に届け出る必要はない。 法律を曲解すれば、救護した行為を捕獲と見なすこともできるが、 捕獲の許可は事後には出せないので、 これについても届ける必要はない。

傷病保護と捕獲の違いについては条文に記載がないものの、 環境省から「傷病鳥獣救護に関する考え方」という指針が出されている。 長文なので内容を要約すると、

「野生動物は野生においては生と死を繰り返し生態系を成している。 自然の傷病もその中で処理されてしかるべき。」

このように書かれている一方、

「人には尊い命を大切に思う心があり、傷病鳥獣救護は人道的な行為として行われている。」

そして、「これらの考え方を踏まえて対応を検討するべき。」
となっている。

もっと簡単に要約すると、「自然の掟に従い、傷ついた野鳥は放っておくべきだが、 それでも命を救いたいという人がいるならば、その思いは尊重するべきである。」

ここからは私の個人的な解釈であるが、 さらにこれを都会のカラスに当てはめると、次のようになる。

「都会に群れをなすカラスはすでに自然の生態系に従っているとはいえず、 ケガをしたカラスが生態系のなかで処理される、という考え方は適用できない。 それでは都会のカラスはケガをしたらどうなるかというと、 ケガをして群れから離れ、道路に横たわるカラスは、 人間によって殺処分されるか、人間によって救護されるかの二択になる。 よって、都会でケガをしたカラスの最後は、人間によって処理されるしかない。」

「そもそも怪我の原因の多くは車にぶつかるなど、人間が原因であるため、 その点から考えても、都会でケガをしたカラスを見かけたら積極的に救護すべき。」 という解釈もできる。

傷病保護したカラスを飼育することについて

カラスを飼育している人の中で、これがもっとも多い事例だと思う。 傷病保護した行為自体に何か法的問題が生じたとしても、 カラスを飼育していること自体は何ら罪に問われることは無い。 だから、放鳥できない場合は終生飼養するしかないだろう。 その場合は放鳥できないという獣医師の診断など客観的な証明があることが望ましい。

狩猟期間外に違法に捕獲したカラスを飼育することについて

カラス愛好家の中には、巣からヒナを誘拐してまで飼いたい、という人もいるだろう。 だが、ヒナのいる時期は狩猟期間外であり、 この時期に捕獲するには許可が必要だが、 愛玩飼育が目的の許可はほぼ下りない。 だがそれでも我慢できずに違法に捕獲した場合は、 一年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い処罰が下される(第83条第2項)。 そしてそのカラスの運命はというと、 狩猟期間外に許可を得ないで捕獲した狩猟鳥獣ということになり、 その動物の処置は都道府県知事(実際は現場の役人) の判断にゆだねられることになる(第10条)。 だがこの条文の中には「必要な場合は」と、処置の条件が付いているので、 カラスを飼育しているだけの場合、 行政が何か手を下すことはできないだろう。

だがこれも変な話である。 カラスの場合は多くの自治体で有害鳥獣として捕獲許可を乱発している実態がある。 現在の行政の判断としては殺処分は良くて、愛玩飼育はダメだということだ。

この点は大きな矛盾である。

カラスと動物愛護法

動物愛護法というと犬猫などのペットにのみ適用されると思われがちだが、 実は飼育下にある動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)は全てこの法律が適用される。 だから、愛玩飼育しているカラスを虐待したり、飛べない状態のまま放鳥したり という行為は処罰の対象になる。 一旦、飼育したのならその動物が死ぬまで愛情を注いでください、ということだ。

終わりに

このページに載っている内容は「改訂第5版鳥獣保護管理法の解説」 と、環境省及び各地の役所からの聞き取りをもとにしたものです。 記載内容はよく検証したものですが、 正確さを保証するものではありません。 また各都道府県ごとに別途、条例がある可能性がありますので、 その点は各自でご確認ください。

関連ブログは こちら

改訂前の「カラスと法律」は こちら

更新履歴

2017年5月28日 改訂版を公開 改定前は こちら

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