カラスブログ2017年12月10日 カラスの人間識別

前回はカラスの個体差を見分ける方法を紹介したが、 今回は逆に、カラスから見た「人間」について考察したい。

カラスは自分に対して危害を加えたことのある人間を確実に記憶している。 それでは、彼らは人間のどの部分を見て個人を識別しているのか?

カラス

カラスが個人を識別する能力は、野生でも飼育下でも同様である。

このハシブトガラスのバン君は警戒心が強く、 それゆえにあまり人には馴れていない。 非常に神経質なカラスだ。

だが唯一、時々世話を頼んでいる近所のおばさんに懐いている。 私としては複雑な心境だが仕方がない。


カラス

逆にアディは人に馴れている。 とは言っても彼もカラスであり、 それなりに警戒心は強く、知らない人間に対しては全く心を開かない。

そんな彼だが、幼鳥のころは誰にでも愛想を振りまいていた。 だが、成長するにつれて人を選ぶようになり、 今では私にしか懐かないようになってしまった。


では、カラスは人間のどこを見て識別しているのか?



安倍総理

おそらく顔を認識しているはずだ。 なぜなら人間は服装(=体の模様)が毎日変化するので、 識別するポイントは顔しかないからだ。

そこでコレだ。 数年前に購入したハロウィン衣装の安倍総理大臣。右派からは熱烈に支持され、 逆に左派からは恨みのこもった罵倒を浴びせられるという、実に好みの分かれる顔である。

まぁ、顔が要因ではないのだが・・・。


この顔でカラスとご対面だ。

安倍総理

ものすごい違和感だ。

目の位置の穴が小さすぎて前が見えない。 だが、相手から自分の視線が見えないところがこの実験のポイントでもあるのだ。

さて、すっかり姿を変えた私の事を見破れるのか?


カラス

小屋に入った途端、カラスたちは慌てふためきバサバサと逃げ惑う。 明らかに私とは認識できていない様子だ。

突然、乱入してきた強面のおじさんにカラスたちは恐怖し、奥に隠れてしまった。


カラス

やさしく声をかけるも、私だとは分からないようだ。

エサをチラつかせても全くダメ。ものすごく緊張している。 これは仮面をかぶった私を別人として認識しているのか、 あるいは、この世のものではない不気味さに恐怖しているのかは不明である。

この結果だけを見ると、カラスにとって人間の「声」はそれほど重要な判断基準ではなく、 あくまで人間の顔の形状や表情を読み取っているようだ。

ちなみに、これと同じことを犬と猫にも試してみたが、 最初に一瞬、警戒するものの私の声に反応し、すぐに気が付いてくれた。

では、カラスは人間の顔のどの部分を識別しているのか?

カラス

そこで次は、視線を隠してみる。

この、大型で色の濃いサングラスではどうだろう?

よく芸能人が顔を隠すときに使うやつだ。かなり感じの悪いサングラスである。


こんなのしている人に声を掛けたくはないだろう。

カラス

先程の実験から時間をおいて小屋に入ってみる。

するとどうだろう?  私の視線が分からないにもかかわらず、 カラスたちは全く平気のようだ。

人間の視線を重要視していないということか? だとすると意外である。


次は、顔の多くの部分を覆ってみてはどうだ?



カラス

なんと! この姿で小屋に入った瞬間からアディが興味津々で近寄ってくるではないか!?

このように、人間社会においては即通報レベルの格好でも、 カラスにとっては特別な事ではないようだ。


私の素顔をすぐに見破ってしまった。

カラス

カメラ目線で撮影に応じるアディ。

今回のような雑な実験では確実なことは言えないが、 カラスは人間の顔の特定のパーツではなく、 顔の全体的な表情や形状から個人を識別しているようだ。 さらに、ある程度顔を覆っても識別能力に影響が無いところを見ると、 頭の中に相当多くの情報を蓄積し、照合していると考えられる。



実に的確な認識能力であるが、 このような個人の顔認識とは別に、カラスは人間の「気」を読んでいるようなふしがある。

私は家に来客があるたびにカラス小屋に客を招き、客がカラスと対面する様子を観察している。 その際にたいていの客人はカラスを間近に見ておおいに喜ぶが、 私が観察するのは客の反応ではなく、カラスの反応である。 その際に、カラスと相性の良い人と逆に警戒される人とが明確に分かれるのだ。

カラスと相性の良い人の多くは、「おっとりした女性」である。 逆に警戒されるのは「気が強い」人に多い。それは老若男女を問わずだ。 そのような人は何か言葉を発する前からカラスが警戒する。 おそらく人間が内に秘める「攻撃性」を感じ取っていると考えられる。


カラス

ところで、私が観察している野生のハシボソガラスだが、 私のことを非常に警戒している。 それはカラスからすれば、 いつもカメラを向けられたり、子育てを近くで見られたりするから当然である。 それなのに時々、エサをくれるこの男・・・。

はたして敵か味方か? 理解不能な存在であろう。

そして、逆に彼らも私のことを観察しているのだ。 ある時は遠くの電柱の上から、またある時は木の陰から。 常にこちらを見ているのだ。

彼らは私が在宅か外出中かを確実に把握しており、 乗っている車まで覚えているのだ。 最初は帰宅時間を把握しているのかと思ったが、 実は鉄塔の上から見下ろし、私が帰ってくるのを直接確認していたのだ。 利害関係のある人間については徹底的にリサーチするということだ。

このような鋭い観察眼こそがカラスの秀でた能力であるとともに、 人間社会に溶け込む順応性でもある。




ブログホーム

更新履歴

2017年12月10日公開

News
ブログ